精神科ナースの本気メモ

読むだけでスキルアップできるステキなメモ帳

精神科看護師は『怖い』という感覚を失っているのか?

 

さてさて。自分が精神科で仕事をしていることを知ると、大抵こんな質問をされます。

『精神科って怖いところなんじゃないの?』

『患者さんと取っ組み合いしたりするの?』

これらの質問は本当によく聞かれます。おそらく、皆さんは普段自分で見ることの出来ない世界に興味がある為、こういった質問をするのだと思います。

 

 

 

精神科病棟は怖い場所なの?

 結論から言うと、『怖い場所ではない。』と言いたいところですが、職員の立場としては『怖い場所』だと思っています。

 私見ですが、精神科の看護師は患者さんのご家族の次に患者さんと多くの時間を過ごすと思っています。主治医ですら、多忙とストレスを理由に自分の患者に会おうとしないパターンが多い上、指示だけだしてモニターを隔てて観察したり、ただ結果待ちしていることは珍しくないからです。

 急性期病棟に勤務していると、毎日のように陽性、陰性症状の激しい患者さんと向き合います。入院したばかりの患者さんの中には、いきなり暴言を吐く方も少なくありません。(しかも、暴言の内容が以外と間違ってなかったり、気にしていることだったりします。)いきなり興奮して大声をあげながら殴りかかってくることもあります。そんな時、いくら自身の体格や腕力に自信があったとしても、患者さんに攻撃することは許されません。防御するか、初めから予防策を立てるしかないのです。

 以上な状況は、決して頻繁する事象ではないものの、実際に起こることです。また、これらの出来事は、いつ起こるのか予想することは困難である上、加えて10秒後に起こるかもしれないし、1時間後に起きるかも知れないという不透明さへの恐怖感もあります。

 

 

 

患者さんと取っ組み合いすることはあるの

 結論、あります。

 上記の通り、急性期(最も症状が重い時期)にある患者さんからの怒声や暴言・暴力はプロである私達からしてもショックなものです。多少は慣れたりもしますが、精神的にノーダメージになることは無いと思います。

 話はちょっと変わりますが、患者さんの暴言は、以外と的を得ていたりします。(バカ、ハゲ、デブ、安月給....etc) したがって、経験が浅い、又は自分の気持ちのコントロールが苦手な職員が対応すると、多くの場合、より悪い状況に陥ってしまうのです。

 こうした医療職者側の未熟さも患者さんとのトラブルの原因になることもあるので、一概に患者さんの症状の責任とは言えませんが、落ち着く為の注射をする。患者さんを落ち着く為の安全な環境を確保出来る部屋へ連れていく。そういった必要な援助をする為に、仕方なく患者さんと取っ組み合いになってしまうこともあります。

 

 

精神科看護師は精神的に成長する

 タイトルに戻りますが、精神科看護師にだって、”怖い”という感情はあります。私見ですが、他職種よりも、『怖い』という感覚は鋭敏であると思います。

 精神科に勤めていれば、数限りないくらい怖い思いをします。しかし、その度に『あぁ、自分は怖がっているなぁ。』とか『なんでこんなに怖かったんだろう。』と振り返りをします。というか、自分の心を守る為にしてしまいます。

そういった振り返りを繰り返すうち、自分はどのような状況に対して恐怖心を感じ、どのようにすれば冷静でいられるのか、自分の精神のコントロールが出来るようになってくるのものです。本当に辛い作業ですが、精神科看護師にしか経験出来ないことだと思っています。