精神科ナースの本気メモ

読むだけでスキルアップできるステキなメモ帳

精神科看護師が勧めるアンガーマネジメントの実践的トレーニング


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『アンガーマネジメントをしたいけどどうしたら良いか分からない。』

『ささいなことでイライラしてしまうのが辛い』

 

 

って思っている方に、現役精神科看護師からアドバイスします。

 

 

 

 

本記事の信頼性

・筆者は現役の精神科看護師

・職歴は5年程度(夜勤あり)

・昔は他人に対してイライラすることがあったが確実に減った

 

 

 

本記事の内容

 ・精神科病棟はイライラの宝庫

・アンガーマネジメントの具体的実践

・他人を変えるなんて不可能

 

 

精神科病棟はイライラの宝庫

 当たり前ですが、精神疾患の患者さんが入院しています。精神科の患者さんは基本的に他者と上手にコミュニケーションが摂ることが出来なくなり入院する事になります。例えば、妄想や幻聴があっても、他者からすれば見えないものですが、理論上通常の生活が出来るはずですよね?しかし、それを他者にまるで現実かのように押し付け、他者の生活を侵害してしまう為、入院・治療が必要になってしまうのです。

 そんな状態で入院してくる患者さんです。しかも、閉鎖病棟は常時鍵がかかっているので自由に外に出ることは出来ません。しかもヒモ類(靴ひも、スマホの充電ケーブル)、刃物、ビンなど持ち込みが禁止されているものが多々ある状況です。平静を保てるはずがありません。

 『こんなところに入れやがって~!訴えてやる』

 『俺たちのこと人間扱いしろ~!』

と怒鳴られることも多々あります。時には水をぶっかけられたりもします。実際には入院させたのは家族か行政のどちらかで、看護師に入院をさせる権限はないのです。また、急に怒鳴られたりするなんて、どちらかというと人間扱いされていないのは私達看護師サイドですが、容赦なく看護師に怒りをぶつけてきます。

 よって、私のような精神科に勤める看護師は常にアンガーマネジメントを磨き続ける必要があります。仮に患者さんに対する怒りを患者さんに怒りで返したら、訴訟問題や刑事問題に発展してしまうからです。どんな理不尽なことも聴いてあげる必要があるのです。

 

アンガーマネジメントの具体的実践

まずは自分をよく観察してあげる。

 アンガーマネジメントをする際に、すぐに取り出せる小さなメモ帳を常に携帯するようにしましょう。そして、自分がイライラした時には、メモ帳にイライラした内容を簡単でも良いので、すぐにメモしておきましょう。

観察の視点として、以下のことはしっかりメモしておくといいでしょう。

・相手(年齢・性別・体型・顔付・仕草etc)
・場所(自宅、職場、それ以外etc)

・状況・環境(匂い・清潔さ・明るさetc)

 

 

 

観察したことから自分の傾向を分析する

 人には必ず傾向があります。もちろん、怒りが込み上げる状況にも傾向があり、人それぞれ個性があります。例えば、特定の人の甲高くて大きい声が嫌いとか、人の話をちゃんと聴いていない部下の態度にイライラするとかetc

 

 

 

対処法を考える

 苦手な相手がいるなら、会わないためにどうするか。会わずに済まないなら、どのように対応したらいいのか?あらかじめ計画をしておくのです。そこから実践、評価というPDCAサイクルを働かせるといいでしょう。

 いきなり、怒りの原因全てを対処するのは不可能です。毎日の積み重ねによって徐々に自身を成長させることが出来ます。

 

 

 

自分のコンディションに目を向ける

 常に自分に気を配っていますか?

 例えば、あなたが高級ホテルへ遊びに行ったとして、料理がマズかったり、スタッフの態度が悪かったり、ベッドがちょっと湿っていたりしたらせっかくの高級ホテルを存分に楽しむことが出来なくなりますよね。それと同様に、あなたがあなた自身に対して十分なおもてなしをしてあげなければ、外部の些細なことに対してイライラし易くなってしまうのです。

 

 

 

あなたのニーズは何か?

 まず、人間は生理的欲求が最優先されます。

 生理的欲求とは、食事、睡眠、排泄の三つです。どうでしょうか?これのどれか一つでも出来ない状況でイライラしないことは可能でしょうか?不可能ですよね。

 この人間の欲求について研究した有名な人マズローという人物がいます。

マズローの欲求5段階


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このピラミッドの下から順に、人間が優先させたい欲求の強さになっています。つまり、人間はこの欲求を追い求めるようにプログラミングされているので、このピラミッドのどれかが書欠けるだけで、欲求不満の状況に陥り、イライラの原因になってしまうのです。 

 私の場合、先述した生理的欲求はもちろん、朝起きたらまず勉強をして自己実現の欲求を満たし、掃除をして安全の欲求を満たしてあげないと、職場で良い仕事が出来ないと分かっています。

 

 

 

他人の性格や習慣を変えることは出来ないと悟る

 他人の生活や習慣を変える為には膨大な労力と時間を費やす必要があります。なぜなら、相手はあなたがイライラしていることも知らないし、自分の性格や習慣を変える必要もなければ変える気も無いのです。それならば、自分が変わることの方が簡単で成長につなげる事が出来ます。自分の習慣を変えることは、それなりに抵抗がありますが、アンガーマネジメントを通して自分を柔軟に変化させることが出来るのです。