精神科病棟に持ち込み出来ないモノとその根拠まとめ
『精神科ってどんなところ?』
『持ち込めないものがあるって本当?』
そんな疑問に、根拠つきで答えちゃいます!
本記事の信頼性
・筆者は精神科病棟の看護師
本記事の内容
・快適さと安全の両立の為に
・根本的に制限なんかしたくない
・刃物
・缶、ビン、セト物
・ライターなどの火器
・ベルト、ヒモ
・スマホなどの充電コード
快適さと安全の両立の為に
私達、精神科の看護師は、日夜患者さんに危険が及ばないよう、病棟内に持ち込めるものを制限しています。中には、日常生活に必要不可欠なものもあり、患者さんに不便な思いをさせてしまうことがあります。しかし、工夫を凝らして、なるべく患者さんが不便な思いをしないように工夫し続けているのです。
根本的に制限なんかしたくない
勘違いされがちですが、私達看護師からしても持ち物の制限はしたくありません。制限した方が仕事も増えますし、何より患者さん達の入院における快適さが低下してしまいます。よって、制限なんかしたくないのです。しかし、制限を全くしないことにより、起きるべきでない事故が増えてしまうことも確かです。私達、精神科の看護師は患者さんが安全かつ快適に過ごすことが出来るバランスを常に模索しながら仕事をしています。
刃物は絶対厳禁
刃物は禁止している病院が多いです。ナイフなど直接相手を傷つけることが出来るものはもちろん、カミソリのなども禁止している病院が多い。これは、リストカットなどの自傷行為、自殺をする患者さんもいる為、自傷行為の予防の為でもあります。
缶・ビン・瀬戸物
缶・ビンなども凶器に出来る。また、加工すれば容易にナイフのように鋭利なものに出来ることから、持ち込みを制限している病院が多い。実際、缶を加工して手首を切る女性に会った事がありますが、カッターやナイフに比べて傷口がキレイに切れない為、治癒が遅れる傾向があります。また、経験の浅い職員だと、家族の面会時に缶ジュースの差し入れがあるのに気付くことが出来ずに通してしまいがちです。
ライターなどの火器
2019年の7月に健康増進法の改正がありました。そこで、学校、病院、行政機関内で喫煙することが全面的に禁止になりました。それ以前は、病棟内に喫煙所があり、患者さんはそこで喫煙することが出来る病院も多く存在していました。大抵の場合、日中の喫煙時間があり、喫煙時間内のみ喫煙所にライターが設置してありました。しかし、重度のタバコ依存のある患者さんは日中のみの喫煙に耐えることが出来ず、ライターやマッチなどの火器を持ち込もうとすることがあります。
基本的に患者さんが病棟を出入りする際には簡単に荷物チェックやボディチェックをすることがあるのですが、下着の中や膣の中に隠して持ち込む患者さんもいるので、完全に防ぐことは出来ないのです。
法律で禁止されてるからこそ注意が必要
法律で病院内の喫煙が禁止されましたが、タバコの依存症がある患者さんが、いきななりタバコを止めることは非常に難しいです。その為、トイレなどで隠れてタバコを吸おうとする患者さんも増えます。すると、火事などの危険性が高まる為、一層注意が必要となります。
ベルト・ヒモ類
私達の生活の中にはヒモが意外と多く存在しています。例えばヒモ靴のヒモ。パーカーにもひも付きの商品が多いですよね。
『自殺したい。』という感情が強い状態を自殺企図と言います。自殺企図がある患者さんは、見える物全てで自殺出来ないか考えてしまう状態です。自殺する為の道具に加工する為に、時間を要するものなら、予防することも可能です。しかし、ベルトや靴紐など、簡単に縊死(首吊り自殺)に使用することが出来るものがあると自殺に気付くタイミングが遅れてしまいます。その為、持ち込みは制限し、持ち込む場合も看護師サイドで預かり、使用時のみ返却するようにしている病院が多いようです。
スマホなどの充電コード
スマホの普及により、娯楽の少ない精神科病棟でも容易に時間つぶしが出来るようになりました。しかし、スマホのバッテリーは長持ちしない性質から、定期的な充電が必要不可欠になりました。スマホのコードは強度が高く、長さがあると簡単に首を絞める道具になってしまいます。また、スマホは依存性も高い為、夜間も寝ずにスマホをいじってしまう患者さんも少なくありません。その為、スマホのコードの使用時間などの制限を行い、安全と休息時間の確保を行うことがあります。