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自殺の予測が出来るようになる!自傷行為・自殺念慮(自殺企図)のある患者への看護・看護計画

 自殺の予測が出来るようになる!自傷行為・自殺念慮(自殺企図)のある患者への看護計画

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自傷行為の定義とは?

 自傷行為とは、自殺のように人生を終わらせる行為ではなく、怒りや不安、空虚館などの耐えがたい不安感情から、致死性の低い身体損傷を行って回避する行動である。しかし、その回避方法は一時的な対処である。その為、自傷行為には以下のような特徴がある。

・反復性が高い

・自傷の程度がエスカレートしやすい

 

自傷行為には、直接的な自傷行為と間接的な自傷行為がある。 二種類の自傷行為の内容を理解し観察する。

 

直接的な自傷行為とは?

・スクラッチ(血がにじむ程度の引っかき傷)

・リストカット·アームカット (縫合が必要な程度の切傷)

・抜毛、抜爪(爪をはぐ)
・自分を噛む

・頭を打ちつける

 

 

 

間接的な自傷行為

 ・激しい過食、嘔吐

 ・物質(薬物)乱用

 ・潜在的に自己破壊性をもつスタント行動
    (ベランダの端に座る、高速道路を歩くなど)

 ・性的逸脱行為



自殺念慮(自殺企図)の定義とは?

 自殺念慮は、心理的な苦痛、抑うつ感や怒りなどから逃れようとするだけでなく、「死」を意識しているという特徴がありあます。その「死」に直結する具体方法について思考や感情が支配されている状態である。

 

 その心理状況は、 自殺だけが自分に残されている唯一の方法であるという極端な思考に陥る一方で、生きていたいという両価的な気持ちの間で激しく揺れ動いている。そのため,何かの刺激で一気に死にたいという衝動が満たされれば,致死性の高い行動を取る可能性が高い。また精神科においては、罪悪感や罪責感を主とする幻覚妄想状態からの自殺念慮も少なくありません。

 

 自殺行為には、直接的な自殺行為と間接的な自殺行為がある。直接的な自殺行為として,縊直飛び降り, 交通機関などへの飛び込みがあり、間接的な自殺行為として,生命を脅かすような物質乱用や服毒,高度に危険なスタント行動などがある。

 

 


自傷行為・自殺念慮(自殺企図)の予測サインと観察ポイント

 行動化を予測する前提として患者の疾患特有の基本的な症状(妄想、幻聴、抑うつなど)

それに加え、年齢や発達段階、家族間の緊張関係や不仲、患者自身の対人関係のパターン(他者に対する過度な期待や依存、見捨てられ感など) リストラや失業、離婚など社会的役割の喪失体験や孤立感,経済状況に対する不安、身体問題や抱えている悩みごとに対する受け止め方の深刻さなどを観察する。

 

 

 

 

自傷の予測のサイン

 妄想や幻聴による自傷があるので、病状やこれまでに自傷のエピソードがあるかそしてそれぞれのもつ背景の情報について把握しておく。

 

観察項目

 ・表情の変化

  (険しさ,硬さ,苦悶、怒っていたのに急に無表情になるなど)

 ・投げやりな態度

 ・「死んでしまいたい」「自分をめちゃくちゃにしたい」などの直接的な言動

 ・対人関係上での不安や怒りの表出
  リストカットは,、カミソリなどの刃物だけで行うわけではない。

 

 

 

頻度の高い自傷の方法

自傷行為を行う方法について把握することで、自傷行為に使用する道具を制限するなどして自傷行為を予防していく。

 臨床的にはカミソリを使用する場合が多い。または、鏡や化粧瓶などのガラス製品、陶器を割って行うことも多い。

また、「カミソリを貸してほしい」と言ったり、こっそりと購入してきてから家族や友人に「カミソリ買ってきた。」などと話すなどの遠まわしで間接的な言動についても観察が必要である。


 行動化の前には自傷行為に繋がる事象がある場合がある。例えば、外出中の対人上のトラブルなどがある。行動化の起因となることが多い事象には、ある程度のパターンがあるので、観察項目を以下に示す。

 ・家族や友人間での対人関係上のトラブル

 ・電話、メールなどの通信機器使用による対人関係のトラブル

  (不本意なことを言われたことから情動不安定となっていないか)

 ・家族・友人との面会中の様子

 ・外出時(外出時、帰院問)の言動

 


自殺念慮の予測のサイン

最初に基本的な観察項目を以下に示す。

 ・表情の硬さ・険しさや

 ・実際に自殺をほのめかすような言動

 ・「飛び降りたい気分になりそう」

 ・「手首を見ていると切りたくなる」

 ・「死んだら皆どう思うのかしら」といった発言

 

 また, これまで不安を訴えていた患者に焦燥感も加わるなどの情動の変化は、表面上からもわかりやすい。

 

 

 

予測が困難な自殺念慮(自殺企図)のサイン

 何も言わない、あるいは言わなくなる場合は予測が難しい、より細やかな観察が必要となる。こうした観察については周囲からの情報も不可欠であり、部屋にこもったり、あるいは普段であれば行かない外出や外泊に行きたがるなど、いつもとは異なる行動や「しばらく会っていない友人に会いたい」と言ったりたり、身辺整理を始めたりするなど、「あれ、いつもとなにか違うな」と感じることがあれば、チーム間で共有することも必要である。

 また、不眠が続いていれば心身が消耗し,、隣の人が起床時間前に洗面しているのは自分への嫌がらせではないか」など些細なことでも疑心暗鬼と